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甘党な愛
第13章 十三
普段のメイド服に着替えると、広間へ向かった。広間には恵と八雲がソファに座っていて、私に気付くと恵が穏やかに微笑む。
「椿ちゃん、元気出して!今からまたマカロン作ってあげるから!」
私に元気を出させようとしてだろうが……その言葉に一瞬ビクッとしながら、ソファから立ちキッチンへ歩いていく恵の背中を見つめ感謝する。すぐに八雲から話し掛けられると、
「おい、葎も悪かったけど許してやれ。後、今後一切あのメイド服は着るなよ」
「はい……」
八雲の前に気を付けしたまま、しゅんと落ち込みながら返事をした。……可愛いと思って欲しかっただけで、まさかあんなことになるとは。八雲はこの事で呆れただろうし、私のことを可愛いとも思わなかっただろうな。
「ごめん、もうこんなことは起きないようにする。だから……」
嫌いにならないでくれ。そう言いたかったが、言えずに口ごもる。八雲が先に話すと、
「お前も女なんだから、気を付けろ」
「……」
その言葉を聞いて頬が緩みそうだった。八雲が私のことを女だと言った……。今まで散々なことしか言われなかったのに。