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甘党な愛
第13章 十三

 私はただ八雲に可愛いと言って貰えたら、それだけで良い。それだけで毎日幸せに生きていける。

「……悪いけど、俺には婚約者がいる」

 ……知っている。

「だからお前から好きとか言われても答えられない」

 別に、好きとか言ってないんだが。

「メイド……俺のことは諦めろ」

 諦めるって何を。八雲は何の話をしているんだ。

「どうせ後一ヵ月でここも出ていく。……屋敷を出て、結婚する」

「……」

 ぼーっとして八雲の話を聞いていたが、急に衝撃を受けて全身から血の気が引いた。

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