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甘党な愛
第13章 十三

 恵が結婚って……何故……。あれだけ親の選んだ相手とは結婚したくないって言ってたのに。

「一君、ビデオカメラだけじゃなくてスマホでも動画撮ってたんだって」

「動画ってこないだのか……?」

「うん。椿ちゃんと八雲がキスしてるの。それで親に報告されて……」

 恵が話す言葉を、呆然と聞くことしか出来なかった。……スマホでも撮ってたなんて気付かなかった。鬼沢さんめ……!

「……恵はそれで良いのか?」

「仕方ないよ。会社の為だからね」

「相手とはもう会った……?」

「パーティーで何度か。だから顔見知りではあるんだ。けど……やっぱり好きな人と結婚したかったな……」

 恵がしゅんと落ち込んだように話すと、私は胸がちくっと痛くなる。可哀想だ……。こういうのを政略結婚と言うんだっけ。私にはかけ離れた世界。何もしてあげられない……。

「恵……元気出して」

「ありがとう、椿ちゃん」

 私が言うと、恵は寂しそうに微笑む。すると……

「ねぇ椿ちゃん」

「何だ?」

「俺と籍入れてくれない?」

 そのまま私の両肩をガシッと掴んで、ぼーっとしている私へニコニコしながら質問した。

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