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甘党な愛
第14章 十四
「……好きだ」
「……」
私が呟くと、八雲はお皿とフォークを受け取りながら呆然として私を見てきた。……ヤバい。また言ってしまった。どうなってるんだ、私の口は。止まらない。
「好きだ。好きだ。好きだ。好きだ」
「おい、やめろ。急に何を言い出して……」
「八雲が!好きだ!諦められない!」
「だから俺は、結婚するって言ってんだろ」
私の言葉に驚きながらも、受け取ったミルフィーユを食べ始める八雲。すると、一口食べて、
「うまい……」
幸せそうに呟くと、無愛想に私を見る。
「おい、俺はお前の作る料理は好きだ。料理はだぞ?だから、もっと自信持て。お前なら他に良い男と付き合えるから……」
「……」
その言葉だけで、私は救われた。
「頑張る……」
何を頑張るのか分からないが、兎に角泣きそうなのを堪える。……八雲の結婚が中止になれば良いのに。そう思っていた気持ちは、八雲の言葉を聞いて応援と変わっていた。
「八雲も婚約者と幸せになってくれ」
「ありがとな、椿」
心から願う。八雲が幸せになることを。そして私も、必ず八雲と同じくらい好きになる人を見つけよう――……
この日から三週間後、八雲は屋敷を出ていった。