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甘党な愛
第14章 十四
* * *
「いやぁ~本当出ていっちゃったね、八雲。結婚式呼んでくれるかな~?」
相変わらず能天気だ。四月に入って暖かくなってきたからか、屋敷に残った三人は最近怠けている気がする。
「ところで椿ちゃん、夕飯まだ~?俺、お腹減った~」
キッチンの壁に掛けられている時計の針は、六時を指している。もうお腹減ったって、夕飯の時間は六時半なのに。
「もう少し待って。もう少しでタンシチューが出来上がるから」
「うわぁ!椿ちゃんのタンシチューとろとろで絶品だもんね!」
八雲が屋敷からいなくなって、まだ一日。普段と変わらない態度の恵にキッチンで料理をしながら言うと、私は恵に微笑んでみせる。
「ありがとう。八雲からも私の料理は美味しいって誉められたんだ」
会いたい。本当は。でも、もう殆ど吹っ切れた。今はメイドの仕事をしっかり務める。それが今は私の生き甲斐でもある。
「……八雲からね。へぇ~……」
恵が露骨に不機嫌そうな顔をすると、不思議になった。