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甘党な愛
第15章 十五

「……無くなった……」
「えっ?」
「結婚しないことになったんだよ!」
「……」
聞き取れなかった私に八雲が再び言うと、私は呆然とする。
「結婚しないことになったって……まだ屋敷を出て数日しか経ってないんだけど……」
そんなことがあるのか。理由は何?そう聞く前に、
「彼女、浮気癖があんだ。それで俺、相手の男と暴力沙汰起こして親からこの屋敷に放り込まれてたんだ。でも……俺がこの屋敷にいる間にも彼女はまた他の奴と浮気してた……」
無表情で八雲は話した。
「だから……もう、アイツとは結婚しねぇ」
「……経緯は分かったけど。何で八雲は、私とこうしているんだ?」
傷付いた心を紛らわす為?寂しいから?……私が八雲のこと好きだから、都合が良いと?
「……椿。お前なら、俺の側から離れない気がして……やけになって酒飲んだ後、お前に会いたくなって、いつの間にか屋敷に戻ってた……」
八雲は真剣に話すと、そのまま私の体をぎゅっと抱き締める。
「……」
私に会いたくなったって、嬉しい。こんなに嬉しいことはない。それが彼女の代わりでも、今八雲から求められているってことだ。
「椿……」
耳元で名前を呼ばれると、頬へちゅっと軽くキスされる。
「うわ……」
ヤバい。何だ、この感動。泣きそう……。

