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甘党な愛
第15章 十五
でも慰めてあげたい。私にそれが出来るなら。
「……あんま可愛いことするとヤるぞ……」
ぼーっとした八雲がそう呟くと、私はビクッと両肩を震わせる。そして、おずおずと言った。
「ごめん……処女だから、八雲を癒すことは出来ないと思う。でも、抱き締めることなら出来るから……」
今晩はずっと、朝まで抱き締めてあげよう。きっと八雲は今辛くて泣きたい筈だから。泣きたくても泣けない筈だから。その分、人の温もりで癒せるように。
「八雲、朝までこのままで……」
八雲の体に両手を回し、優しく抱き締めた。すると八雲は私に覆い被さっていた体勢から、私の横へ移動する。
「……キスはすんぞ……」
「うん……」
朝までな――そう言った八雲の表情は、心無し穏やかそうに見えて、私は八雲を抱き締めたままほっとしていた。