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甘党な愛
第15章 十五

 ――翌朝、目を覚ましたのは八雲の声が聞こえたからだった。

「おい、メイド」

「ぬっ……」

「起きろ」

「……」

 ぼんやりと眠気眼のまま目を開けると、ベッドの側に立っている八雲の姿が視界に写り混む。

「あ……」

 そういえば昨日は八雲の部屋で寝て……八雲とキスして……

「……」

 思い出すと、体の熱が一気に上昇した。ヤバい。恥ずかしい。昨日は八雲が寝るまでずっとキスしていたんだ。約1時間ぐらいずっと……。

「メイド、朝食作る時間だろ?」

 やっぱり八雲はキスしたこと覚えていない……?普段の冷たい八雲だ……。

「あ、はい……」

 八雲から無愛想に言われると私は返事をして、ベッドから立ち上がる。普段の様にメイドって呼んでくるし、やっぱり覚えてない様だ。予想していたけど、こんなにショックとは……。

「朝食作ってくる。出来たら呼ぶから……」

 そのまま私はドアへ向かって歩き出す。が……

「メイド……」

「何だ?」

「……その昨日は……」

「うん……?」

 あ、何故自分が屋敷に戻っているのか覚えてないんだろうか。私と一緒に寝ていたということにも、記憶のない八雲は驚いたと思う。

「昨日は八雲が酔って屋敷に帰って来たんだ!一緒に寝ていたのは、……私が寝惚けて部屋を間違ったみたい!ごめんな!」

 八雲に笑顔で話すと、そのまままたドアへ向かって歩き出そうとする。が、しかし。

「メイド……」

 急に八雲の顔が此方へ近付いてきたかと思うと、顔を傾けた八雲から唇へ口付けられる。その瞬間、私の鼓動ははね上がった。


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