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甘党な愛
第16章 十六
その後食堂で朝食を食べていると、右側に座っている恵が話し出した。
「ドンマイ!ドンマイ!また結婚相手見つかるから!しまっていこう!」
まじでアホじゃないのか、恵って……。野球コーチの様に両手をパンパンと叩く恵を見て、私は呆れながら視線を送る。
「……」
こういう時は何も言わずにいるのが一番……。それが優しさというもの……。
「八雲君、女運無いよね。浮気癖って所謂病気だよ。そんな人と結婚しようとしてたなんて……絶対、治らないから」
正面の葎が無表情で話すと、うんうんと頷いていた私は顔を青ざめた。
「性病移されなくて良かったと思えばラッキー……」
「葎!お味噌汁おかわりするか!?」
葎の話を妨げるように、慌てて話し掛ける。……こいつら絶対おかしい。八雲、絶対ぶちギレてる……。
「……」
そうっと恐る恐る左側の八雲へ視線を送ると、八雲は無表情で味噌汁を啜っていた。そしてお椀と箸をテーブルに置くと、無言で席を立った。……ヤバい。やっぱり怒ってるじゃないか。
「ご馳走さま……」
そう言って食堂から出ていこうとする八雲が心配になり、私は声を掛けたが、
「八雲、大丈夫か?」
「……」
八雲から返事が返ってくることはなく、そのまま八雲が再び席へつくこともなかった。