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甘党な愛
第16章 十六
「頼みますよ」
私の言葉を聞いてフッと笑う鬼沢さん。笑っているのに、冷たく感じる……。
「はい……」
「そういえば八雲も結婚話無くなったそうですね。幼馴染と中学の頃から交際していたのに残念でしたね」
「まぁ……」
「なんなら椿さんが癒してあげたらどうですか?八雲も助かると思いますよ。以外と繊細な人間ですから」
私は淡々と話す鬼沢さんに、これ以上何も言えなかった。何故だろう。八雲を私が癒す……?繊細……?やっぱり八雲が私にキスをするのは傷付いた心を癒す為に?その相手なら誰でも良いかもしれない。別に私じゃなくても。
「では、失礼します」
礼儀正しく一礼すると、鬼沢さんは門へと歩き出す。その背中を呆然と私は見つめていた。