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甘党な愛
第17章 十七
そのまま広間へ行くと、三人がソファに座ってテレビを見ていた。
『藤咲製薬がカンボジアに学校を寄付しました。代表取締役である藤咲 和巳(かずみ)社長がインタビューに答えています』
テレビに移っている女性アナウンサーの言葉に一瞬ドキッとすると、すぐ父親のインタビュー映像が写し出される。
「凄いねぇ~、藤咲社長。偉人だよねぇ~」
それを見て恵が話すと、
「長女もモデルだっけ……藤咲 明香(あすか)」
葎が呟く。すると、続けて八雲が、
「次女は何してんだ?確か二人娘がいたよな?愛人の子」
不思議そうにすると、私はビクッと体を震わせた。
「……」
ここにいま~す!とか死んでも言えん。コッソリ部屋に戻ろう……。
「っ……」
そうっと私は広間から出ていこうとする。が……
「あ、椿ちゃん、何してるの?その封筒何?」
恵が振り向いて私に気付くと、私が持っている茶色い封筒を指摘してくる。
「これは……!」
ヤバい。これには鬼沢さんが私のことを調べた書類が入っている。見られたら、私が藤咲和巳の次女だとバレる!愛人の子供だとバレる……!