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甘党な愛
第18章 十八
すると、1分も経たずに再び着信音が鳴った。
『プルルルルル!プルルルルル!』
着信者は、また鬼武者。……出ないと何されるか分からない。
「はい……」
『てめぇ、何処のメイドしてんだよ!』
「あるお屋敷の……」
『てめぇ、給料は良いのか!?飯ちゃんと食えてんのか!?』
「うん……とりあえずは」
勢いよく話されると、質問に答えることしか出来ない。だが……
『……良かった』
ボソッと呟かれると、一瞬じーんとして涙が溢れる。
「明香姉さん……」
母親が違うとはいえ、やっぱり私達は姉妹なんだ……。カリスマモデルで頑張っている明香姉さんは、私の憧れでもあり優しい姉……。そう思って涙を両手の指先で拭って。いたのだが――……
『とりあえず椿!見合いしろ!』
「見合い……?何を言ってるんだ?」
『ジジイが急に跡継ぎ候補見つけたとか言って、私に見合いしろって言ってんだよ!』
続けられた傲慢な言葉に、頭を真っ白にさせた。
「じゃあ姉さんがしたら良いだろ!」
『馬鹿!私にはたー君がいるだろ!』
「ああ……あの高三から付き合ってる自称ラッパーの……」
明香姉さんは男の趣味が悪い。それを言うと、木刀で殴られるが。
「まだ付き合ってたのか……」
『会うだけで良いから!LINEに時間と場所送るから!』
「ちょ……」
一方的に電話を切られて、私は呆然とした。見合いって……。私だって、好きな人がいるのに!会うだけで良いと言われたって、見合いなんてやり方知らないんだが!
『ピコン』
そのまままた携帯が鳴って、姉さんから送られてきたLINE。
『見合いに行ってくれたら、ジジイにはメイドのこと黙っといてやるよ!』
「……」
その文章を読みながら、私はまた暫く呆けていた。