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甘党な愛
第19章 十九

 それから二日後の午後一時。都内にある予約制の和食レストランで、私は人生初めてのお見合いをした。明香姉さんが怖いのもあるが、父親と義母が来ないという理由で。まさか、こんなことになるとは思わなかったが――……

「えっ……葎……?」

「椿さん、何でここに?」

「私は鬼武者の様な姉さんの変わりにお見合いしろって、強引に……」

 店員から案内された個室へ入ると、和室の畳に葎が座っていて驚く。落ち着いたスーツ姿で、葎もワンピース姿の私が来たことに驚いているようだった。

「姉さんって……モデルの藤咲明香のこと?今日来る予定だった……」

「……」

「どういうこと?椿さんって、藤咲明香の妹なの?藤咲社長の娘……?」

 まじか。明香姉さんが来ることになっていたのか。そんなこと姉さん一言も言わなかった!

「……頼む。この事は誰にも言わないでくれ!恵にも、八雲にも!」

「……良いけど」

「ありがとう!」

 私の頼みに快く返事をしてくれる葎に、目を輝かせながらお礼を言う。

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