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甘党な愛
第20章 二十
幾度も幾度も、言われてきた。
『……幸せなんて、そんなに続かないのよ。あんたなんか尚更よ……』
実家の玄関。中学二年生の頃から母親は誰もいない隙を見て実家に忍び込むと、私に会いに来た。要するに、父親の愛人。だけど、私を産んだ母親。初めて会った時は、私を迎えに来てくれたんだと思っていた。
『あんただけこんな豪邸に住んで!私がどんな思いであんたを産んだか分かる?』
しかし、母親の怨み辛みたまった形相を見てすぐに気付いた。この人は私を迎えに来てくれたわけじゃない……。
『この裏切り者!あんたなんか、誰も愛さないわよ!』
悩みもなく贅沢、裕福に暮らしている私に嫉妬して、
『家族だって、あんたを邪魔だと思ってるわ!』
私まで闇に引きずり込もうとしているんだ……。一人じゃ闇にいると寂しいから。仲間を作ろうとしている。
『来なさい!あんたが本当に暮らすべきところに連れてってあげる!』
『い、嫌だ!離せ!』
腕を力強く掴まれ、引っ張られ、私は死ぬような思いでそれに抵抗する。
『……また来るわ。何度でも』
抵抗出来たとしても、それから私が高校一年生になるまで母親はこっそり実家に来ては、私を拐おうとした。……それからだ。私が実家を出たのは。