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甘党な愛
第21章 二十一
『葎は嘘が下手だな!』
『嘘……?』
『遅れたエイプリルフールだろ!信じなくて良いから!』
『まあ、信じてはいねーけど……』
慌てながら何とか誤魔化すと、八雲から名前を呼ばれる。
『椿』
『ん?』
何だ?……そう続けて聞こうとしたが。
『……会いたい』
突然の甘い言葉に、胸が苦しくなって息が止まるかと思った。
『ぐ、はっ……』
天使だ。天使がハートの矢を、大量に私へ向けて打ってきた。何だこのハートの嵐。ギュンギュンする……。
『今日会えるか?』
『勿論!外出は自由だから……』
『そうか。じゃあこないだ言ってた和スイーツの店に行くか?』
『うん……』
瀕死の状態で返事をする。すると八雲が、電話越しにほっと安心したような気がした。
『……楽しみだな。会えるの』
もう、やめてくれ……。これ以上は……。
『ぐうっ……』
私はそのままベッドで、胸を両手で押さえながら仰向けに倒れた。