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甘党な愛
第23章 二十三
* * *
翌日の午前中、私は部屋に置きっぱなしにしていた荷物と原チャリを取りに、屋敷へ星窪の車で送って貰った。生憎、恵と葎は外出中だったが、八雲は自分の部屋のソファで読書中だった。自分の荷物を纏め八雲の部屋へ入ると、その事に気付く。
「八雲、おはよう!」
「……おはよ」
驚かそうと思って内緒で来たのに、普通か!
「ちょっとちょっと~驚かないんですか~」
挨拶しても無表情で本から視線を変えない八雲の隣に座ると、冷静な言葉が返ってくる。
「荷物取りに来たんだろ?部屋から騒音レベルの物音がしてたからすぐ分かった」
「……じゃあ、もっと喜べ!私が来て、嬉しくないのか!」
「……」
釣った魚には餌をやらないタイプか!負けん!
「八雲、好き!好き!好き!」
八雲の腕に抱き付いて、八雲の肩に頬擦りした。そんな私へぼそっと八雲は呟くと、本を片手でぐしゃあっと握り潰す。
「朝からうっとおしいな……てめぇ……」
怒りよった!まさか、本当にやり逃げじゃないだろうな!一回したから、私フラレるんじゃ!
「ごめん……」
真剣に謝りながら、八雲の腕から手を離す。しかし――……
「会いたかった……」
そのまま体を両腕でぎゅっと抱き締められると、混乱した。
「やぐも……」
「もう一緒に暮らせないって我慢してたのに……」
「お、お……」
やっぱり乙女か――