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甘党な愛
第23章 二十三

「大丈夫……」

 優しくて、思いやりがある八雲。やっぱり、好きだ……。私は八雲の体を抱き締め返しながら、ほっと安心しつつ、すりすりと八雲の胸に頬擦りする。

「……」

「……で、新工場の責任者ってどういうことだ?お前、台湾に行くのか?俺、聞いてねーけど?」

「……」

 突然鬼のような形相へ豹変し、八雲が私の頭を右手で鷲塚むと、何も答えられず震え上がったが。

「いや、その……まあ、そういうことで……本当は、今から言おうと思っていたんだけど……」

「……本当に行くのかよ!お前、マジか!」

「ごめんなさい……」

 何とも言えない。ただ謝ることしか出来ない。驚かれても、ドン引きされても、嫌われても仕方ない。私はきっと八雲を傷つけた。その証拠に、八雲が私と目を合わせてくれない……。

「別れるってことか……?」

「それしかないのなら、そうするしか……」

「お前はそれで良いのか?俺と離ればなれになっても、別れても、良いのか?」

「仕方ないことだと思ってる……」

 八雲の言葉に恐る恐る返事を返すと、頭を離される。そして――

「……分かった。じゃあもう終わりだな、俺達」

 八雲はそう言うと、部屋から出ていった。

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