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甘党な愛
第25章 エピローグ
一週間後、昼間に恵と葎がやって来た。しかし、何やら訳のわからんことを言っている。
「二人とも、結婚おめでとう!で、俺は何処に住めば良い?」
「恵、何を言ってるんだ?ホテル取って来たんだろ?」
「取るわけないじゃん!俺達、今日からここで一緒に暮らすんだよ!」
二人ともリビングのソファに並んで座ると、急にテーブルの上に置いたスーツケースを開けて、中から荷物を取り出し始める。
「……ここで一緒に暮らす?」
いや!待て待て待て待て!何を言ってんだ!こいつは!
「2LDKか……一部屋二人ずつとして、誰と誰がペアになる?くじ引きで部屋のペア決める?」
恵と一緒にスーツケースからぽいぽいと荷物を取り出しながら葎が話すと、私も八雲も顔面蒼白した。
「てめえら……椿とは、俺が同じ部屋に決まってんだろ!」
いや八雲。つっこむのはそこじゃないだろ。
「二人とも帰れ!今から一緒に住むなんてあり得ないだろ!私達は新婚夫婦だぞ!」
6日前に籍を入れたばかりだっていうのに!邪魔をする気か!
「でもね……椿ちゃんはメイドを辞めても、俺と葎はそれを許してないんだ。ね?葎」
「うん……勿論」
恵がソファから立ち上がり私の方へ歩み寄ってくると、私の顎をくいっと上げる。そして――冷たく私を見据え、低い声で言うと、
「まだキミのご主人様なんだよ。俺達……」
私はゾクッと背筋を凍り付かせた。
「……恵、何を言って……」
って、あやうく流されるところだったが。そんなわけないだろ!
「良いから出ていけ!旅行の間はうちに泊まって良いけど、ちゃんと日本に帰れよ!」
そのまま私が恵の手を振り払うと、恵はニコニコしながら返事をする。
「はぁ~い」
本当に疲れる。二人が帰るまで、心が休まらない……。