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甘党な愛
第6章 六

「紹介が遅れました。僕は鬼沢 一(おにざわはじめ)と言います。恵さんの家の使用人です」

「そ、そうですか……私は藤咲、椿です……メイドです……」

 鬼沢と名乗った男は、私の足を爽やかな笑顔で踏みつけながら自己紹介する。そして私の必死な自己紹介を聞くと、笑顔のまま続けた。

「恵から聞いています。藤咲君が恵の婚約者候補だということは。恵からいくら積まれたんですか?」

「……は?」

「お金を貰って婚約者のふりをしているだけですよね?恵が男を婚約者に選ぶ筈ない。恵は昔から女好きのエロ大王だ」

「……」

 ツッコミたいところが色々とある。まず、やはりこの人は私を男だと思っているらしい。それに私が恵からお金を貰って婚約者のふりをしているんだと。

「お金なんて……」

 お金なんて一千も貰っていない。言うなれば、昨日のあのスイーツしか。というか、あのスイーツタワーは囮?私をここへ連れてくる為に、恵が仕組んだのか……?

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