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甘党な愛
第7章 七
フレンチレストランでフルコースを食べ終えると、私達は鬼沢さんと別れ、恵の車で屋敷へ帰った。車内では一言も話さず、恵へ無言で怒りの圧力をかけていたのだが、恵は屋敷に帰ってもお構い無しに普段通り明るくて、そんな恵を見て私は呆れ果てた。
午後3時。今から八雲の部屋の、ベッドメイキングの時間。……絶対恵から謝ってくるまで話すもんか。私は腹を立てたまま、シーツや枕カバーを持ちながら八雲の部屋へ向かう。すると――
「藤咲さん、大丈夫だった?」
廊下で話し掛けられて振り向くと、後ろに後嶋が立っていた。……大丈夫って。
「今日のこと?恵が私を騙そうとしてたの後嶋知ってたの?」
「まあ……」
不思議に思いながら私が質問すると、後嶋が私から目をそらす。
「後嶋……!酷い!恵も後嶋も!私を男扱いして!勝手に婚約者候補とかわけの分からんことして!」
「恵さんが困ってたから……作戦を練ったのは俺なんだ」
「後嶋が!?首謀者はお前か!」
泣きそうになりながら怒っていたが、無表情で話す後嶋の言葉を聞くと、私はシーツと枕カバーを廊下に思い切り叩き付けた。