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キミを愛シテ溺れてる
第4章 *キミを愛シテ溺れてる 2
カイロを風子の手のひらに置いてもう片方の手で挟ませてから俺が両手で包んだ。
すると、「すごく温かい」っと言ってにっこり笑いかけてきた。
もし両思いだったら今この時はもっと幸せに感じていたんだろう。
早く過ぎる時間も穏やかに流れて、この手に伝わる温かさと同じ熱が心にも届いて……。
「ねえ、乙羽さん。……今まで生きてきて幸せだった?」
「え?いきなりなんですか。深刻なことを聞いてきて」
「いや、なんとなく聞きたくなって」
「変なことを聞きますね。うーん……。颯太と別れた時はすごくつらかったです。
輝いて見えていたものが真っ暗くなっていくように感じて、自分の全てを拒絶されたみたいで生きているのがつらかったです。だけど……」