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キミを愛シテ溺れてる
第4章 *キミを愛シテ溺れてる 2
「乙羽さんはあまり迷わないんだね」
「下見に行ってるわけですし、そこまで迷わないわけではないですよ。でもどうしても迷った時は強く印象に残った物を選ぶようにしてます」
「なるほど。印象に残った物か……」
風子の考えでプレゼントを選ぶとするとやはりあのネックレスだ。
それ以外は印象に残らなかったことだし、贈って自分も納得できる物はあれしかない。
雪が降っていて寒いと言うのに、この光景を楽しんでいるように風子の足取りは軽かった。
「ドレスを着るのは初めてなので今から楽しみなんです。あ、でも記憶を失う前に着ていたら初めてじゃないですよね」
「……前のことを知りたいって思う?」
「もちろん知りたいですよ。自分が何をしていたか思い出したいですから」
「そっか……」
「母も父も記憶を失う前のことを何も教えてくれないので、教えてくれる人がいたらいいんですけどね」