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キミを愛シテ溺れてる
第5章 *キミを愛シテ溺れてる 3
その音がする方を振り向くと置いてきたはずの風子がいて目を疑う。
ハーフアップにした髪は乱れていて、歩き慣れない高さの靴で走って俺の元にやって来てきて荒れた息を整えている。
「……乙羽さん。本当に好きな人の方に行っていいんだよ」
「今の私はソラ先輩の彼女です……。もう颯太の彼女じゃありません」
不本意だとしても俺を選んでくれて嬉しくて微笑んでみせると切なそうな顔をした風子に抱き締められた。
パーティドレスの上にコート。俺よりも寒い格好をしているのに温かくて、その熱が冷え切った心に染みていく。
我儘だけどこの温もりをもっと欲しくなってしまう。
「分かってるんだったら、俺のことを愛してよ……」
【*キミを愛シテ溺れてる 4】へ続く―――→