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キミを愛シテ溺れてる
第6章 *キミを愛シテ溺れてる 4
天気予報よりも早く雪が降ってきて積もり始めているから交通機関も混雑しているんだろう。
クリスマスイブだから普段より出歩く人も多い。
ポケットに冷えた手を入れようとするとプレゼントの箱に触れた。
このハートのネックレスを渡したらどう思われるのかな。
手を入れるのをやめて、ドキドキしながら白くなる息を小さ吐いて雪を眺めていた。
三十分くらい経った頃、辺りを見回しながら風子が走ってきた。
すぐ近くにいるのに俺に気付いていないようだ。
驚かしたくなって、後ろからそっと近づいて声を掛ける。
「乙羽さん」
「ひゃっ!ソラ先輩……!?いたんですか!……遅れてすみません」
「大丈夫だよ。雪が降ってきて来るのが大変だったでしょ」
「はい……。でも約束しましたから」
嘘をつかずに約束を守ってくれた。
記憶を失う前のキミも事故が起きる日に来てくれようとしていたんだろう。
今回は大事な時に何事もなく俺の元に来てくれて、ただそれだけでも嬉しかった。