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キミを愛シテ溺れてる
第6章 *キミを愛シテ溺れてる 4
風子に早く会いたい……。
会ったら抱き締めて、愛し合いたい。
頬が緩んだまま通話を終えてポケットにスマホをしまう。
歩道の信号が赤になり立ち止まるっていると、ランドセルを背負った子供が走って渡って行った。
「待ってよー」
先に行った子を追って後からもう一人の子供が俺の横を通り過ぎていく。
その子は車が近づいて来ているのに気付いていない。
「――――危ない!」
こちらに引き戻しては間に合わないため、子供を横断歩道の向こう側へ突き飛ばした。
俺だけが歩道に取り残されて、急ブレーキの音が聞こえる。
それからは一瞬のことで覚えていない。
激しい痛みで体が全く動かなくなり意識が朦朧とする中、会社を出てから右手の薬指にはめた銀色のペアリングが目に映った。
――――『私はソラがいなくなるとひとりぼっちだから。……いなくなったりしないでね』
風子と交わした約束……
何があっても、ずっとキミの傍にいるはずだったのに……――――
【『イケないキミに白い林檎を』続編へ続く……】