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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
嬉々として話す妹にイヤな予感しかしないながらも訊いた。
「お誕生日、おめでとう!お姉ちゃん!!」
妹の憎たらしいとしか思ったことない声と耳障りこの上ないクラッカーの音が耳に届く。
体中に〝嫌悪〟が込み上げる。
「お母さーん、ケーキお願ーい!」
「はいはい。
ほら、瑠々が〝お姉ちゃんに〟って選んだのよ。」
「ケーキ・・・」
大きなホールのケーキに顔色が変わる。
「どうかした?」
「甘いもの・・・苦手。」
場の空気が冷めていくのが判る。
「ごめんね、知らなかった。」
「だろうね。
(誕生日なんて瑠々のしかしないから必然的に甘い物が嫌いになったのよ。)」
心で悪態をつくと親族の冷たい視線が刺さる。
「どうしよう。お姉ちゃんに喜んでもらいたかったのに。」
「瑠々。食べるから・・・」
周りの反応が面倒くさくて静かに告げる。