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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
「本当?」
「うん。ケーキ貰うよ。」
本当に投げやりに言うと嫌味なくらいに妹が笑顔になる。
「よかった。お母さん、切り分けて。」
「はいはい。」
娘の笑顔に綻び笑顔でケーキを切り分ける。
「(瑠々の為なら惜しまないのね。)」
母の姿に心で嘲りの笑みを向ける。
面会時間終了の30分前に妹の自己満足の会が終わり解放され足早にエレベーターホールに向かう。
「月依っ!」
「・・・お母さん、なに?」
振り返り相手の姿に深いため息が出てしまう。
「瑠々が〝お姉ちゃんに〟って用意した席なのに傷付けるなんて。」
「ちゃんと食べてあげたでしょ。」
案の定な台詞にうんざりしながらも答える。
「なんなの、その言い方は!」
「あの子の茶番にきちんと付き合ってあげたんだからそれでいいでしょ。
私、明日も早いの。」