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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
矢継ぎ早に不満と葛藤が溢れ出る。
「なんて・・・冷たい子なの。」
キッと睨み付け病室に戻る。
「・・・冷たい親がよく言う。」
遠ざかる背中を見つめながら呟いた。
「月依ちゃん。明日から冬休みでしょ?」
「そうですよ。」
タイミングよく現れた声の主に返事する。
「それなのに朝、早いの?」
「私受験生です。」
「ああ、そうか。で、どこを受験するの?」
「時雨崎《シグレザキ》学園です。」
「えっ、あの全寮制の名門校?」
「はい。こんな生活から早く脱出しなくちゃ。私、言われた通り〝病気〟みたいだから。」
振り返り笑顔を見せる。
「月依ちゃん・・・〝助け〟は、要る?」
「〝助けて〟、くれるんですか・・・?」
スゥッと笑顔を見せる瞳に闇の色が滲む。
「もちろん。」
ドキリとしながらも答える。