- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雪の日に祝福を・・・。
第10章 忍び寄る別れの魔の手
気迫に負けてしまう。もちろん罪悪感が無いわけではない。
「そう言っているようにしか訊こえなかったわ。」
「おい、月依!」
スタスタと歩いて行ってしまうのでつい、名前で呼び止めてしまった。
「気安く呼ばないで!」
止まることなく一喝してオフィスに入った。
》 》
私には、門出が待っていた。
2人の夢を叶えて2人で前だけ見つめて暮らして行こうという細やかな倖せを私は、大切にしていた。大切にしたいと思っていた。
誰になにを言われても私は、彼だけを見つめると誓っていたから過去のモノになんか触れた などなかった。
《 《
「おはようございます。」
重苦しい気持ちを引き連れて車に乗り込み挨拶をする。
「あぁ、おはよう・・・燵夜。」
「「おはようございます、燵夜さま。」」
運転手と秘書も返す。
「経済学部での手続きは、終わったか。」