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雪の日に祝福を・・・。
第11章 結果発表~なごり雪~
「ありがとう。でも、帰るよ。」
「どうして?」
「会社には、月依さんみたいに一生懸命働いてる人が居てその人に家族が居て裏切れないって思った。」
「だから、したくもない仕事をするの?」
「ごめんね・・・。
好きだよ。でも、さようならして・・・」
「燵夜くん。私は、応援してる・・・きっとその道も進める方法があるから。」
頭痛が増すなかで伝える。
「ありがとう。俺を・・・棄てて。」
「っ・・・」
どこかで訊いたセリフ。
春だと言うのにチラチラと白いモノが舞っている。
「今までありがとう、楽しかったわ。」
嘘も手慣れたものだ。
「うん、俺も楽しくて・・・倖せだったよ。」
心を閉ざして口にする。
視界を遮るように雪が舞う。
「燵夜くん・・・。私、夢を追わずに父親の言いなりになる君を棄てます。」