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雪の日に祝福を・・・。
第12章 終わりのハジマリ
優しいお爺さんに頭を下げる。
「近いうちに連絡します。」
「寂しいけど、書類を用意しておくよ。」
「お願いします。」
大家さんに頭を下げて部屋を出た。
部屋に戻ると深いため息が出る。ガランとした殺風景な部屋に逆戻りしてしまったからだ。
引っ越しの準備など瞬く間に終わることだろう。
》 》
悲しくとも私は、去って行くしかない。今さら同情の〝愛〟なでは、満たされないしこの渇望も満たされない。
求める〝愛〟を手に入れるには・・・もう、遅い。
《 《
春めいた気候が麗らかな天気を連れていたある日ケジメの訪問をした。
「あら・・・お客さまですか?」
病室のベッドにやって来た看護師に声を掛けられた。
「姉です。」
重たい言葉だった。
「似てますね。目元とか・・・」
「そうですか。」