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雪の日に祝福を・・・。
第12章 終わりのハジマリ
独りで目覚め誰にも逢わず1日が過ぎても死への準備だと思えばなにも寂しくもない。
探されることもないと・・・思っていたの。
《 《
「若狭さん、すぐにお薬入れますからね。」
「ん・・・」
病魔の進行は、著しかった。
引っ越してから気の張りも無くなってしまったのか起きるのも眠るのも億劫で仕方がなかった。
新天地に着てから3週間ほどで緊急搬送されることが多くなっていた。
町の小さな病院に運ばれても緩和ケアしか希望していない私に出来ることは、ほんの些細な点滴の処置くらい。
元の医師からは、戻って来るようにとしつこく言われていたが帰る気には、全くなれないでいた。
「緩和ケアは、病院でも出来る。戻りなさい。」
「さじを、投げるのですか?」
医師の言葉にガッカリだった。
「そう思われても構わない。」