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雪の日に祝福を・・・。
第13章 愛の居場所
その名前で飛び起きた。
「っ・・・」
頭痛と目眩に吐き気が一気に襲って来た。掛け布団を握ってなんとかベッドに留まる。
「若狹さん。安静にしていて下さい。」
「なんで・・・」
頭上からする声は、担当医だ。しかも緩和治療に向かう前の。
「意識を失って2日も昏睡状態でした。あちらの医師から引き継ぎました。」
答えながら患者の身体をベッドに横にする。
「今日からは、ここで過ごしてもらいます。まず現状を診るために検査をします。」
「〝検査〟って、意味あるんですか?」
すでに緩和ケアを選んでいるのだから無意味に思えた。
「検査をしてより良い緩和ケアのプランを立てます。」
「・・・判りました。」
「では、明日検査を行います。安静にしていて下さいね。」
「はい・・・」
医師が出て行ったあと部屋が個室であることに気が付いた。