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雪の日に祝福を・・・。
第13章 愛の居場所
「そうですか。まぁ、判ってました。
歩くのは、やっとだし。ご飯も食べずらいし。」
「食事のこともきちんと伝えてくれ。」
「大丈夫ですよ。元々食欲ないし。」
「食事は、体力維持のために大事だ。」
「医師。最近言葉遣い雑です。」
「君の態度に合わせてる。」
「なんですか、それ。」
「病室に戻っていい。」
「はーい。」
主治医の意見は、判っている。しかしこの世に未練など一つもない。・・・いいや、ひとつだけある。
それは、彼だ。
「若狹さん。」
「はい。」
エレベーター前で呼び止められて振り返る。
「妹さんが、いる?」
「はい、居ます。」
知っている風な看護師の言葉に素直に返事をする。
「出産されたみたいよ。」
「そう、ですか・・・」
なぜか胸が高鳴る。
「産婦人科の病棟に行けば逢えるみたいよ。」