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雪の日に祝福を・・・。
第14章 優しさに祝福を
「・・・医師、暇なの?」
「まさか、大忙しだよ。」
「の、割には・・・よくくるけれど。あ、あぁ・・・判った。」
「なんだ?」
「そろそろ危ないから回る回数を増やしてるの?」
「全く君は・・・なんてこと言うんだ。」
「病気になっていいことがあったわ。」
「なんだい?」
「人の心が読めるようになった。」
クスッと笑うと主治医が傷ついた表情をした。
「医師・・・」
返事をしてくれない。
「医師、あのね。全ての人を救うなんて無理だわ。
私を見て。まだ医師に宣告された期限までだいぶ時間があるハズなのに・・・1人では、もう立ってどこにも行けやしない。
自分1人で歩いて来たのに歩けもしないの。判る?
期限が迫ってるの。医師の気持ちは、痛いほど判る。」
俯いている医師の手を握る。
「私の命を想ってくれてありがとう。」