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雪の日に祝福を・・・。
第14章 優しさに祝福を
「っ!?」
手をギュッと握り締める。患者を直視できない。
「医師、〝よく頑張りました〟・・・。」
それは、救えない命に寄り添って胸を傷めてくれる優しい人にしてあげられる唯一のことだった。
「っ、君がっ、君が言うのか・・・っ」
手を握っていた白く細いか弱い手で頭を撫でられて患者の前で初めて涙を流していた。
闘病する患者にけっして見せないと誓っていたモノ。悲しい命に触れてしまった。
「痛くて、苦しいときは、きちんと言います。だから、私にばかり構わないで医師。」
泣いてくれる相手に優しくそう言うしかなかった。
》 》
この人生の中でいいことは、〝期待しない〟で物事に打ち込めるようになったこと。
過度な期待を持たないが故に打たれ強いイメージをつけることが出来てキャリアアップには、大いに役に立った。