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雪の日に祝福を・・・。
第14章 優しさに祝福を
新生児室を訪れると担当の看護師が話してくれた。明日退院だという。早いものだ。
「元気なんですね。」
「はい。若狭さんは、体調どうですか?」
「〝いい〟とは、言えませんがこの子を見ると元気になります。」
これは、あながち嘘ではない。
〝命〟は、続いて行くのだと教えられた。悲しくも寂しくもない。
1つが終わって1つが始まるのだ。
「そうですか。
若狭さんが来るとご機嫌なんですよ~」
「へぇ~伯母さんだって判ってるの?」
腕の中でスヤスヤと眠っている小さな命に声を掛ける。
妹が小さい頃、抱っこした記憶がない。母は、いつも神経質でニコリともしない。
妹は、未熟児の病弱で母の気の休まるときがなかったのだろう。
だから感情が枯れていった。気が付くまでそれでなんともなかったのだ。
しかし自分が生きていたのは、両親のおかげだ。