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雪の日に祝福を・・・。
第15章 雪が見ていた日々
「さようなら。」
綺麗な笑顔を向けてくれる可愛い幼子の額にキスをする。
「いい子ね・・・」
ゆっくりとベッドに寝かせる。
新生児室を出て懸命に車椅子を漕いで屋上に向かう車椅子用のエレベーターに乗る。
》 》
「月依。」
彼女の病室に入ると綺麗に整ったベッドと畳まれた病院着だけがあり本人の姿は、なかった。
「すみません。若狭さんは、検査ですか?」
ナースステーションに寄って声を掛けた。
「いいえ。今日は、なにも予定がありませんが・・・」
「そう、ですか・・・」
部屋の様子からして不安になる。
「どこ、行った?」
居場所が判らないがとりあえず妻の所に行ってみることにした。
》 * 》
「はぁ・・・やっぱり外の空気は、いいわ。」
屋上に来て空気を胸一杯に吸い込んだ。周りには、誰も居ない。
それが自分らしくてよかった。