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雪の日に祝福を・・・。
第15章 雪が見ていた日々
「はい!」
返事をして屋上へと向かう。
》 * 》
「そろそろ、みたい・・・」
病院で処方された睡眠薬をこっそり溜め込んでいた。そしてそれをワインと一緒に病室を出る前に飲み込んだ。
薬とワインが回るには、時間が要らない。それ程に身体は、弱っていた。
「いまなら、空を飛べそう・・・ふふ。」
頭が違う意味でボーッとしてきた。
薬を使うのが卑怯な手なのは、思ったが自分を保てるギリギリを保ったつもりだし自分でも選択出来るうちに選んだ幕引きでもあった。
このままでは、生き長らえて雪の日に旅立ってしまうこともいまの医学ならあり得てしまいそうだった。
それだけは・・・絶対に嫌だった。
「医師、騙しちゃったなぁ。あとで知ったら怒るかなぁ。」
真剣に言葉を信じて送り出してくれた人を思う。
「ああ・・・今日は、静かでいいわ。」