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雪の日に祝福を・・・。
第15章 雪が見ていた日々
声を出すのも怠《ダル》くなって来た。
「月依さん・・・」
「もう・・・なんて、顔を・・・しているの・・・・・・」
視線を向けると逢いたかった青年が目の前に居た。薄れゆく意識下の中で彼が光って見える。
「月依さん、なんで・・・」
「ふふ。〝なんで・・・話してくれなかった〟って、言いたそうね。」
青年が視線を逸らした。
「あなたに言って、どうなったの?
あなたは、私に〝画家にならない〟って宣言してまで別れを告げたわ。」
意識を集中してきちんと言葉を紡ぐ。
「月依。いつまで維持を張っているんだ。」
「私から〝意地〟を取ったらいったい、〝なにが〟残るの・・・。
こんな私に、なったのは・・・あなたの、所為でも・・・あるのよ・・・・・・」
必死に自分を現世に留め置こうとする音を見つめる。