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雪の日に祝福を・・・。
第16章 雪の日に祝福を・・・。
《 * 《
小さな斎場でしめやかに葬儀が執り行われた。
〝喪主を務める〟と言い出し葬儀社に〝婚約者〟として依頼を行い全ての段取りをしたのは、燵夜であった。
両親は、2つ返事で了承した。薄情なものだった。
「燵夜・・・」
「マスター・・・」
人の少ない寂しい会場で悲しい顔合わせになってしまた。
「大丈夫か?」
「俺、間違ってました。
身を引いたら、護れるんだって・・・自己満足だった。」
涙が零れる。自分のどこにこんなにも涙があったのかと思うほどに泣いている。
「それは・・・お互い様だろう。
月依も病気を知ってお前の申し出を受け入れた。」
青年の背中を擦る。
「最期は、笑ってたんだろう?よかったじゃないか。」
「え・・・?」
「俺は、気が付くのに遅すぎて死に目にも逢えなかった。」