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雪の日に祝福を・・・。
第16章 雪の日に祝福を・・・。
「マスターの、〝大切な人〟?」
「あぁ・・・月依は、ソックリだった。だから、大事だったんだよ。
俺も自己満足だが、月依を見守ることで償ってたんだ・・・彼女に。」
「そんな女《ヒト》が居たんだ。」
「あぁ、手を握っていないって思ってたのは・・・俺だけだったよ。燵夜。」
「はい。」
「この想いは、枯れない。フとしたときに水が与えられて花が咲くんだ。綺麗で、残酷な・・・花が。」
青年も自分と同じ日々を送るのかと思うとたまらなかった。
「いまも、咲いてますか?」
「あぁ、一生咲き誇るだろう・・・俺が朽ちるその日まで。だから、付き合い方を覚えろ。
咲いても引きずられずに愛《メ》でれるように。」
「はい・・・」
経験者の言葉に素直に頷いた。忘れることなどない。それは、決定事項だった。
「納骨は、どうするんだ?」