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雪の日に祝福を・・・。
第3章 予定通りの結婚式
「平気~酔ってないから自分で帰れまぁ~す。」
電話に向かったマスターを尻目に別のスタッフで会計を済ませて入り口の階段に向かう。
「こら、月依!」
「ごちそうさまぁ~」
ヒラヒラと手を振って階段を上がって行く。
「全く・・・どこが〝酔ってない〟んだ。」
「マスター、心配?」
「ああ。いつもなら記憶なくしてるくらい飲んだよ、今日は。」
アルバイトに答えながら出て行った彼女が気になる。薬指で輝いていた指輪がなかったからだ。
》 》
這い上がる術など持ち合わせては、いなかった。しかし生きる道は、仕事で上を目指す以外に残ってなどいなかったから惨めでも会社に居残った。
そして惨めな自分が出来うる最大の報復を思い付いたのだ。
人生最大の晴れの日を台無しにされた代わりに2人の角でも〝最悪な祝日〟に塗り替えてやろうと決めた。