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雪の日に祝福を・・・。
第3章 予定通りの結婚式
奥から出て来た母は、自分に見せたことのない笑顔を妹に向けている。その姿にイヤでも黒い感情が沸き上がる。
「お母さん。こちらが鈴村 悠葵さん。」
「こんばんは、初めまして。」
目の前で自分がしてされる挨拶が交わされる。
「まぁまぁ、寒いでしょう。中へどうぞ。」
「お邪魔します。」
先に2人が上がるとようやく母の視界に私が入った。
「あら、あなたも居たの。」
「話しが複雑だから、付き添い。」
冷たい反応になぜか安堵する。
「そう。」
それだけ言うと2人を追いかけて奥へ歩いて行く。
「あなたぁ~瑠々が婚約者の方を連れてくれたわよ。」
後を歩くと母の耳障りな声が訊こえる。
「初めまして、鈴村 悠葵と言います。」
リビングに通じるガラス窓の大きいドア前で彼の挨拶に足が止まった。本来なら自分が隣で訊いているハズだった。