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雪の日に祝福を・・・。
第3章 予定通りの結婚式
「本来なら月依さんとの結婚の挨拶に伺うハズでしたが瑠々さんと関係を持ち子どもが出来ました。責任を果たしたいと思うので身勝手ですが結婚をお許し下さい。」
誠実さが取り柄の彼の言葉に吐き気と目眩に襲われる。
「ああ、娘を頼むよ。倖せにしてやってくれ。」
「はい。」
「瑠々。彼は、エリート商社マンなんだってなぁ。生活は、安泰だしなによりだなぁ。」
「そうね、あなた。本当におめでとう、瑠々。」
両親の喜びの声に気が遠くなる。
「それで、月依さんにどのように償ったらいいでしょうか。」
「〝償い〟?それは、要らない。」
「えっ、でも・・・」
「悠葵さん、大丈夫なの。月依は、妹思いだから。そうよね、月依?」
残酷な問い掛けに意識を取り戻す。
「ええ。お父さんとお母さんが認めるのなら文句ないわ。」
ドアを開けて静かに答えた。