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雪の日に祝福を・・・。
第1章  手記
  


 妹の声で我に返りタクシーに乗せる。


「月依。」


「お母さん。着替えさせてコートも着せたよ。」


「偉いわ。
 じゃあ、お母さん帰りが遅くなるかも知れないから戸締まりをして火の元に気を付けてお留守番していて。」


「はい。」


 返事をするかしないかで母は、タクシーに乗り込むと素早く発進してしまった。タクシーが角を曲がって見えなくなるまで見送った。


「あら、月依ちゃん。外寒いのにどうしたの?」


「瑠々が病院に行ったから見送ってただけ。もう、中に入る。」


 タクシーのクラクションを訊いて出て来たであろうことは、判りきっていたがあまりにも白々しく声を掛けられたので口早に返した。


「そうなの・・・かわいそうにねぇ、月依ちゃん。」


「〝かわいそう〟・・・?なんで?」


 言われている意味が判らず首を傾げる。


「なんでって。今日は、お誕生日だったでしょう?」


  
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