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雪の日に祝福を・・・。
第5章  失った世界の景色
  


「月依さんですね。俺は、大学2年の村雨《ムラサメ》燵夜《タツヤ》です。」


「宜しくね、燵夜くん。」


「はい。」


 やっと名前を知れて自分の名前も呼んでもらえて満足だった。


「(名前を教えただけでこんなに喜ぶなんて・・・)」


 不思議な青年の空気に和んでしまう。


「そうだ!達也くん、お腹・・・空いていない?」


「突然ですね。」


「ふふ。お近付きの印にご飯でも食べようか。」


 自分にいま最《モット》も欠けている輝きを放つ青年の傍にもう少しだけ居たいと思った。


「どこに行くんですか?」


「屋台よ!」


「え・・・」


「もしかして、初めて?」


「はい・・・。」


「よしっ!じゃあ、屋台に向けて出発~」


 青年の腕を掴み粉雪舞う中引っ張って歩き出す。


「えっ、ちょっと!月依さんっ!」


  
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