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雪の日に祝福を・・・。
第1章 手記
〝寂しい〟なんて認めてしまったらもう・・・戻れないと感じていた。
判っていた。胸の奥の痛みの原因が自分が葬り去った渇望の感情たちの悲鳴であることは・・・。
「平気・・・
(これ以上、踏み込まないで・・・)」
状況に耐えられず席を立とうとする。
「月依ちゃん!」
「・・・放し、て。。。」
腕を掴まれ止められる。
「ちゃんとご両親に言わなくちゃ。君が〝寂しい〟んだって。
こままじゃ本当に病気になってしまうよ。」
心配で堪らないのだ。
「いっそ、病気に・・・なりた・・・・・・っ、」
「月依ちゃん?」
「っ///!!?」
自分の無意識に放った言葉に心底驚いて本を置いたまま走り出してしまった。
呼び止める医師《センセイ》の声さえ耳に入っていなかった。
》 》
知ってしまった。自分が本当に〝独り〟だと。