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籠鳥 ~溺愛~
第19章
「ああ。三年は日本から離れることなる、いや、業績が悪ければそれ以上かかるかも」
三年。
現実味を帯びない話に、美冬は頭の中でそう繰り返す。
「君のこれからは我が社が責任を持って面倒をみる。大学の入学金も授業料も、こちらで負担する」
「………」
(私の、これから――?)
「大学進学については、俺も取締役と同意見だ」
『高校にも行かせない鏡哉が、大学に本当に行かせてくれるのかって――』
「………」
黙り込む美冬の手に、A4サイズの封筒が握らせられる。
そこには高校の名前が書かれていた。
「鹿児島の私立高校だ。全寮制で、国立大進学率は九州一だ。君の叔父さん、鹿児島にいただろう?」
(鹿児島――)
叔父さんの家に、小さい頃行ったことが一度だけあった。
(アメリカと東京、アメリカと鹿児島……どちらも変わらない)
「………」
「二日間、よく考えて。いつでも電話かけてきてくれて、かまわないから……」
頭の上が温かく感じ視線を上げると、高柳がくしゃりと頭を撫でていた。
「………」
反応しない美冬を置いて、高柳は帰って行った。