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籠鳥 ~溺愛~
第4章

「連絡しておいたものを頼む」
鏡哉がそう店員に言うと、美冬の前に一人の女性店員が立った。
「お嬢様、どうぞこちらへ」
(……? 鏡哉さんが買い物終わるまで、ほかの部屋で待ってるのかな?)
美冬は促されるまま、扉の向こうへ向かう。
そこは広いフィッティングルームのようで、鏡の前には一着の白いワンピースがかけられていた。
「背中のファスナーはこちらでお上げしますので、着替えられたらお声掛けくださいね」
自分の置かれた状況が把握できない美冬は「はあ」と間抜けな返事をして、出ていく店員を見送る。
パタン。
(って、「はあ」じゃないでしょ私! なんで私がこんな服着なきゃいけないのよ?)
そこで美冬ははたと気づいた。
鏡哉は美冬のために服を買って帰ってくることが頻繁にある。
美冬のクローゼットはいつ着るんだと思うような、ワンピースなんかが溢れている。
今回もそうなんだと合点がいき、美冬はフィッティングルームの扉を開こうとした。
しかし――。
(ひ、開かない)
「美冬ちゃん、着替えないと一生この部屋から出してあげないよ」
扉の向こうから、鏡哉の脅迫が聞こえる。
どうやら扉の向こうから、鏡哉がドアノブを開かないよう握っているようだ。
「き、鏡哉さん、ずるいっ!」
「ほら、早く着替えないと、入っちゃうよ」
「わあ、ダメですったら!」
美冬はあわててセーラー服を脱ぎ去り、白いワンピースに袖を通す。
(す、すごい肌触り)
シルクらしいそれは、肌に吸い付くように気持ちいい。
ちょっと感激してしまった美冬は、鏡に自分を映し見入ってしまった。
コンコン。
「お嬢様、入りますよ」
「は、はい」
先ほどの店員が中に入ってきて、ファスナーを上げてくれた。
「ガーターストッキングをお付けになり、この靴をお履きになって外においでください」
「はあ……」
美冬はあきらめて言われた通りに履いて外へ出た。
白い華奢なヒールのパンプスは少し歩きにくい。
少し離れたソファーでコーヒーを飲んでいたらしい鏡哉が、長い脚を組み替えてこちらをじっと見つめていた。
「いいね、やはり美冬ちゃんには白が似合う」
そう満足そうに微笑まれ、美冬はこそばゆくなって鏡哉から視線を逸らす。

